PROJECT STORY 02 医食同源

「美味しくてからだに良いもの」を届けながら社会課題を解決し、日本を元気にしていく。

「医食同源」、それは「医療(医薬品)も食事も、本質的には健康のために欠かせないものとして源は同じ」という言葉です。
ウエルシアはその考え方を取り入れるだけでなく、美味しくてからだに良い日本の食材を発掘しながら
食料自給率や生産者の利益確保といった社会課題を解決する新規事業をはじめました。
それが「医食同源プロジェクト」です。
ウエルシアから「日本医食同源研究所」に出向しているメンバー二人に
活動内容やそれぞれの想いなどを聞いてみました。

PROFILE

遠藤 さゆり ウエルシアホールディングス 顧問
医食同源プロジェクト推進責任者/
一般社団法人日本医食同源研究所 事務局長

日本医食同源研究所の事務局長として、理事会運営、予算管理、規約遵守、基本広報業務など事務局の運営業務全般を担う。
立ち上げメンバーとして組織に携わりながら、理念遂行のための業務を幅広く担当し、池野理事長(ウエルシアホールディングス会長)と供に統括責任者の立場で活動を推進中。

竹内 大貴 ウエルシアホールディングス/一般社団法人
日本医食同源研究所 事務局

日本医食同源研究所のブランディングや、イベントの企画・運営など事務作業を担当。SNSプロモーションをはじめとするブランディング活動と並行して、定期的に開催している賛助会員向けのセミナーや勉強会などのイベントを、外部の企画会社と連携しながら運営していく役目を担う。
メンバーの中でも若手であることや、管理栄養士として経験してきた仕事とは異なる業務に試行錯誤しながらも日本医食同源研究所の中心メンバーとして活動中。

プロジェクト発足の
背景や経緯を教えてください。

遠藤

ウエルシアが人々の健康寿命を延ばしていくためにできることは何だろうと考えた時に、「医食同源」というキーワードが経営陣から出てきました。食と健康について、真剣に向き合うこと。これをプロジェクトとして推進していこうという事業計画が大元にあります。また、それと並行して「小売業は変化対応業」という姿勢で、常に何かを仕掛けていくウエルシアの戦略でもありました。5年、10年、さらにはもっと先の未来を見据えて、どのようなイノベーションを起こすべきか。そういった新規事業の一つとして、この「医食同源プロジェクト」が始まり、さらにそこから一般社団法人医食同源研究所が誕生しました。

竹内

一般社団法人という形を取ったのもユニークでウエルシアらしいですよね。短期的な利益の追求ではなく、ドラッグストア業界や日本の将来を考えて、ウエルシアではできないことにも積極的に挑戦していこうとする想いが込められています。ウエルシアは、いつまでも変化しない本質的なものに新しさを取り入れていく「不易流行」という言葉も大切にしていて、食と健康という普遍的な価値と新しいイノベーションの掛け合わせになっているのも特徴ですよね。

JIDLバル

JIDLバル

プロジェクトの特徴や注目すべきポイントは
どんなところですか。

遠藤

少子高齢化が進み、マーケットの縮小や価格競争の激化といった問題が起きています。小売業だけでなく、生産者や卸業者にとっても大きな問題ですよね。そこで私たちが着目したのは、新たな価値の創造です。日本全国のまだ知られていない「美味しくてからだに良いもの」を発掘し、健康という観点で吟味・検証してから、みなさまにお届けしていく。そうすることで、産業全体の利益確保や食料自給率の改善につなげていき、文字通り「日本を元気にしていく」ことを目指しています。そのためには今までと違うイノベーションを起こすことが必要であり、「多様性」「専門性」という観点で理事や諮問委員の方々に参画していただいています。検証においても、多分野で専門性を持った方々の力を発揮していただいているのも大きな特徴です。

竹内

そうですね、「食と健康」から社会課題の解決を担っており、その趣旨に多くの賛助会員さまからご支持いただいています。私たちの独りよがりではなく、行政や生産者さまたちと同じ方向を目指して活動できているというのが特徴ですよね。大切なのは、私たちが独自に商品を開発して売上を伸ばすことよりも、美味しさと確かなエビデンスを備えた「日本の良いもの」をプロデュースしていくこと。そのために、日本医食同源研究所のブランド力を重視しているのも特徴といえるかもしれません。

JIDLバル

JIDLバル

JIDLカレッジセミナー

JIDLカレッジセミナー

プロジェクトで苦労したのは
どんなことですか。

竹内

私はもともと管理栄養士であり登録販売者として店舗勤務をしており、そこからの異動だったので当初はわからないことばかりでした。もちろん、ブランディングに関わった経験もありません。現在も試行錯誤を繰り返しているところではありますが、ブランドの「軸」は常に意識しています。たとえばSNSブランディングでいうと、大切なのはフォロワーの数だけではないですよね。ブランドの正しい認知を広げていき、好感度を向上させていくために、どのような情報を発信していくべきかを日々考えるようにしています。

遠藤

私の場合、まず社団法人を立ち上げるまでのプロセスに大きな苦労がありました。事務局長という立場で各種手続きや書類作成が多く、そもそも時間も限られていたんですよね。私自身、登記関係や商標登録などの経験が豊富というわけではなかったのですが、社内外のメンバーにサポートしていただきながら無事に設立を迎えられました。苦労は多かったものの、このプロジェクトの社会的意義に賛同していただける方々から「一緒にやりたい」といった声をいただけることも多かったです。賛助会員さまのキラキラした目や期待感はとても印象的でしたし、日本医食同源研究所が多様な立場の知見を組み合わせていくプラットフォームになると良いなと考えて、前向きに進んでこられたように思います。

JIDLカレッジセミナー

JIDLカレッジセミナー

このプロジェクトで、
どのような成果や効果が出ているでしょうか。

竹内

たとえば、さつまいも100%の「紫芋蜜」を上市する予定となっています。「紫芋蜜」は甘いのに血糖値が上がりにくく、抗酸化作用もあるといわれており、美味しさはもちろん、からだにも良い商品です。この商品を通じて日本医食同源研究所の理念や考え方を広く伝えていき、ブランドロイヤリティが向上してくことも期待しています。実際に一部のウエルシアの店舗では日本医食同源研究所の特設コーナーを設けていただけるので、地域の方々に知ってもらえると嬉しいですね。また、長野県佐久市の新規出店ウエルシア店舗では、医食同源研究所のアンテナショップのように新たな発信地とすることも考えています。今後もそういった話題づくりも含めて、多方面での展開を実現させていきたいと思っています。

遠藤

ほかにも、セミナーやバルでのイベントなどに多くの方が参加していただけており、活動の幅が広がってきました。「美味しいものを食べて健康になる幸せ」をより多くの人に届けていきたいと思うようになりましたね。美味しくて身体に良いもの、つまりブランドとして価値ある商品を提供して、経済を循環させていく。その仕組みが日本や世界にも広がっていき、「美味しくて身体に良い食べ物」を通じて多くの人が幸せになれる。そんなサイクルをつくりだせるような手応えを感じています。

島田市役所にて染谷市⾧と

島田市役所にて染谷市⾧と

プロジェクトを通じて得られた
気付きや学びは何ですか。

遠藤

活動を通じて多くの方々とお会いする機会があり、そこで気付いたのはみなさん「良いものを届けたい」という想いでひたむきな努力をされていることですね。その共通の想いがあれば、今後も立場や業界を問わず多様な組み合わせで新しい価値を生み出していけるという期待感を抱きました。「日本医食同源研究所」がまさしくラボとしての役割を担っていくだろうと実感できたことも大きな収穫ですね。

竹内

私も同じようなことを感じていました。日本医食同源研究所のメンバーはもちろん、食に関わるたくさんの人々が、日本の食糧自給率の低迷をはじめとする多くの課題に対して「何とかしたい」と真摯に向き合っていらっしゃいます。私たちは「日本を食で元気にしていきたい」「日本の食の文化や伝統を守りたい」という理念を掲げていて、共感してくださる方への感謝とともに使命感も一層強く感じるようになりましたね。たとえ商品にブランド力があっても収穫量に悩んでいたり、逆に価値ある商品でもブランドが確立していなくて苦労していたりと問題は根深く、一筋縄で解決できるとは限りません。そういった日本の現状に危機意識を持ちつつ、一つひとつの課題に向き合っていく意義とやりがいを感じながら日々活動しています。

島田市役所にて染谷市⾧と

島田市役所にて染谷市⾧と

今後のビジョンについて教えてください。

竹内

まずは日本医食同源研究所の社会的意義を拡散していくことや、広報に力を入れていくことですね。私たちがスローガンとして掲げている「こころ躍る、からだ喜ぶ」が体現できるように、広報担当としての責任を果たしていきたいと考えています。そして、周囲のメンバーの方々からもたくさんの学びがあるので、自分自身の成長も実感しながら取り扱う商品のプロデュースやブランディングの面でも良い結果を残せるように努力をしていければと思っています。

遠藤

先ほど申し上げた食料自給率やマーケットの縮小だけでなく、フードロスや安全性の確保など、日本が抱えるさまざまな課題に一石を投じたいという想いは非常にありますね。たとえば、フードテックと呼ばれるような最新技術を取り入れて、食を守ること。それがひいては日本を守ることになり、日本の価値を上げることもつながると思っています。日本医食同源研究所として、生産者や賛助会員の方々と協力しながら食に関するイノベーションを起こして、社会問題を解決できるようにしていくのが目標です。近い将来、社会の変化の原点が日本医食同源研究所だったといわれるように、「美味しくてからだに良いもの」を届けながら日本を元気にしていけるように活動してまいります。